コロナ禍を経て2023年、さまざまな規制が少しずつ緩和されて、慣例のイベントやお祭りに活気が戻ってきましたね。
富山市で最も大きなお祭り「山王まつり」もまた、規模縮小に歯がゆい想いをした例祭の一つ。
市民からは「さんのさん」と呼ばれ、夏の始まりを告げる風物詩として親しまれてきました。
今回は4年ぶりに本来の姿が戻ってきた大イベントの様子をレポートします!
「山王まつり(山王祭)」とは?
「山王まつり(山王祭)」は富山市山王町にある日枝神社の春季例大祭で、毎年6月1日、2日ごろを中心に3日間にわたって開催されています。
江戸時代から富山城下をあげて盛大に執りおこなわれてきた、歴史あるお祭りです。
その規模は富山県内で最も大きく、巡業と合わせてさまざまな露店が軒を連ね、毎年3日間で約50万人もの人が訪れているほど!
1日目は朝から境内で獅子舞が披露されたあと、神職さんの御一行が街中を練り歩いて安全と繁盛を祈る「神輿渡御」が2日間に渡っておこなわれます。
2日とも朝8時に神社を出発し、帰って来るのは夕方5時ごろ。
大獅子と神輿が連ねる厳かな行列と、高らかに響く笛や太鼓の音色が富山市民に夏の訪れを感じさせます。
新型コロナが流行してから獅子舞巡は休止となり屋台規模も縮小され、去年の来場者数は20万人ほどだったそうです…
寂しさを乗り越えた2023年、今年は巡業も屋台も4年ぶりに制限が無くなり、活気のある山王祭の復活に街全体がワクワクしているような雰囲気を感じました。
お神輿や獅子舞を間近で見る機会もなかなか無いので、その迫力と凛々しさにはついつい目を奪われます。
16:30ごろ、この日の巡業を終えた御一行が日枝神社へ御還幸に。
歩き続けた神職さん方を労うべく、たくさんの人が集まってその姿を拍手と共に見届けます。
ズシンと重みのある荘厳なお神輿が社へ入っていく様子は迫力がありました…!
夕暮れ前の屋台巡り
巡業を見届けることができたので、いよいよ屋台を巡ります。
日枝神社とグランドプラザに囲まれたおよそ300m四方の範囲で、スキマというスキマいっぱいに屋台がひしめき合っています。
商店街や車道沿いには韓国系グルメを筆頭に、写真映えしそうなトレンドのお店が多い一方、境内の屋台は昔ながらの趣ある娯楽系屋台が多い印象ですね。
お面や金魚すくい、射的、ストラックアウトなど、夏祭りの代名詞が次々と目に飛び込んできます。
他にもおもちゃの福袋、ピンボール、くじ引きなどなど子どもたちが喜びそうなお店がたくさんありました。
さらにお祭り会場内の飲食店によるオリジナルの屋台も。
まぐろ、牛タン、串カツ、餃子など露店とは思えない本格的な一品が味わえます。
昼から夜まで半日以上ここで過ごせそうです。
こちらはグランドプラザの上から日枝神社へと続く道を撮ったもの。
まだ日が暮れる前にも関わらず、すでに普段の休日の3倍くらいの人が行き交っています。
しかし露店が盛り上がるのはまだまだこれから。
夕方から用事があるので、一旦退いてまた戻ってきます!
雨に負けない!熱気と活気に満ちた夜
時刻は変わって20:30。
あいにくの雨に見舞われ、傘をさしながらの屋台巡りとなってしまいました。
しかし雨にも負けず風にも負けず、人の波はさらに勢いを増しています…!
屋根のある総曲輪グランドプラザには、雨をしのぐ高校生や大学生でみっちり。
すれ違う人々が口を揃えて「富山ってこんなに人いたの?」と呟いています(笑)。
普段は子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまでのんびりと人が行き交っているからこそ、この活発な雰囲気にはトクベツ感がありますね。お祭りならではの活気です!
境内のお楽しみコーナーは、食べ歩きを終えた人たちで夕方以上ににぎわっています。
子どもたちの「やったー!」という歓声や、屋台のおじさんの「またおいでー」というハリのある声が雨を打ち消すようです。
中でも最奥に佇む大きなお化け屋敷には、中高生を中心に人だかりができていました。
「ギヤァー!」「ウワァー!」と次々に悲鳴が聞こえてきます。
もはやお客さんの悲鳴なのかお化けの叫び声なのか分かりません。
私は入ったことがないのですが、「山王祭のお化け屋敷はマジで怖い」という噂を大学生界隈で聞いたことがあります。
富山の魅力をお伝えする者として、勇み立って飛び込みリポートすべきなのですが…
さすがに一人でお化け屋敷に入る勇気がありませんでした。スミマセン。
屋台グルメを堪能!ここでしか会えないお店も
お腹ペコペコだったので、境内の一角にひっそりあった「どんどん焼き」を食べることに。
このどんどん焼きは滑川市にある人気店「どんどん焼き本舗 小幡」さんの屋台のもので、富山市内ではめったに食べられない名物お祭りグルメ!
フワッと甘いモチモチの生地に香ばしいソースと昆布が包まれていて、一口食べたらやみつきになります。
おやつ感覚でパクパク食べられますね。
もう1枚食べたくなりましたが、他の屋台も回りたかったのでガマンです。
1枚250円で、5枚、10枚とまとめ買いする人の姿もありました。
次に向かったのは、最初から「ここは行く!」と決めていたお目当ての屋台。
お昼も夜も常に行列が絶えない倉田商店さんです。
倉田商店さんは屋台や移動販売限定の、お祭りでしか会えないカステラ屋さんです。
人気のあまり屋台の裏まで行列が続いていたのですが、店員さんがとっても手際よく、10分ほどで買えました。
混雑で場所が無いうえに雨脚が強くなってきたので、お家に帰ってのんびりいただきます。
やっぱりおいしい…!
最初に玉子がフワッと香り、はちみつの優しい甘さがじんわりと舌に溶けます。
玉子、牛乳、はちみつ、砂糖…材料は至極シンプルなのに、どうしてこんなにも味わい深いのでしょうか。
1つ食べてから緑茶を淹れました。口にほわんと残る甘みとよく合います。
絶品のカステラを味わいながら、お祭りのソワソワとした余韻に浸る夜を楽しみました♪
3日間で出店した露店の数はおよそ450店で、コロナ禍前とほぼ同じ規模だったとのこと。
私自身、コロナ禍前の山王祭を見たことがあるのですが、その時と変わらない熱気と活気を感じましたし、マスクを外した子どもたちのキラキラした笑顔がとっても印象的でした。
来年はもっともっと露店が増えるかも。
富山の初夏の風物詩で、皆さんもお気に入りの屋台を見つけてみてくださいね。
山王まつり(日枝神社春季例大祭)
住所:富山県富山市山王町4-12
アクセス:富山地鉄市内線富山軌道線1・2系統「上本町駅」から徒歩3分
TEL:(日枝神社)076-421-6318
開催日時:毎年5月31日~6月2日の3日間
開催時間:屋台は22:00ごろまで